最近、ブロックチェーンを使用して動いているDAppsのゲームである、My Crypto Heroes で遊んでみたので、その所感を記載しておこうと思います。
My Crypto Heros とは
www.mycryptoheroes.net ざっくりいうとイーサリアムのブロックチェーンを使用するゲームで、ゲーム内で獲得したアセット(キャラクターや武器[エクステンション]など) がイーサリアムネットワーク上でやり取りすることができるのが特徴です。
2019年3月3日時点では、 DappsRadar によると、My Crypto Heroesが イーサリアムベースのDAppsでは取引量1位になっています。*1
My Crypto Heroesのゲーム内のアセットはERC721という規格に準拠しており、ERC721に準拠したトークンを売買できるサービスを使用すれば、ゲーム内で獲得したアセットを売買することができます。
また現在, My Crypto Heroesでは OpeanSea というERC721トークンの取引所で売買可能です。
ブロックチェーンアセットが与える影響
ゲームを通じて自分のキャラクターを強化し、レアアイテムを集めてバトルに勝つという点では一見すると他のスマホゲームと同じなのですが、上記で記載したようにゲーム内で獲得したアセットが、イーサリアム上のネットワークで取引可能になることで、以下のような違いがあると思います。
(事実上の)換金が公式に認められている。今までの国内のほとんどのゲームは、ゲーム内のでアイテムを現金への換金することを禁止しています(一部の海外のゲームは認められています)が、このゲームは 獲得したアセットが 仮想通貨(イーサリアム)に変換できることを認めています。
ゲームのアセットが規格化され、それを売買できる取引所が独立していることで、ゲーム開発側はERC721に準拠することでイーサリアムの売買プラットフォームとブロックチェーンの永続性を享受することができ、アセット売買もゲーム独自の方法でなく、取引所の取引方法に標準化されます。
このようなアセットの標準化と取引所が分離されることにより、よりゲームに対して、投資・投機的な観点で取引が進むのではないかと予想しています。
取引で簡単にアセットが取引できるため、ゲームを実際にプレイしない人でも、ゲームが期待できそう、将来的に人気が出ると予想される場合、初期の場合からアセットを購入しようというインセンティブが働きます。
実際の例として、 以下のアセットは直近 6.7ETH(約10万円) で売買が成立していますが、このアセットはもともとプレセールで 0.1ETHから売買が開始されていました。 当時と今ではイーサリアムの価格も違いますが、単純なイーサリアムベースの比較ですと数十倍に上がっています。これはゲームプレイ人口だけでなく、投資・投機的観点から購入している人が一定層いるのではないかと考えます。 opensea.io
また、ゲームをプレイする人も自分が苦労して獲得したアセットに価値がつくことでよりインセンティブが上がり、初期のゲームでも積極的に参加するようになると考えられます。
このようにゲームのアセットとそれを交換できるプラットフォームが結びつくことで、アセットの流動性が飛躍的に向上し、ゲームの業界に投資マネーが流れ込み金融市場マーケットが形成され、投資に近い感覚を持ってプレイするようになるのではないかと考えます。
ブロックチェーンゲームがまだ浸透していない理由
上記のように、ブロックチェーンゲームがもっと浸透すれば 今までにないゲームの潮流が現れてくると思いますが、現状はそれほど浸透していません。以下の理由からまだそれほど流行っていないのだろうと考えています。
- 参入障壁が高い。ブロックチェーンゲームをプレイするには、 Metamaskなどのウォレットを入れて、イーサリアムなどの仮想通貨を入手する必要があります。もともと仮想通貨をトレードしていた人はできるかと思いますが、ストアで検索してインストールするだけの他のアプリに比べると、かなり障壁が高いと思われます。
- 大量のトランザクションを捌けない。 現在イーサリアムの処理能力は課題となっており現在改良の話が議論されていますが、一般で使用されているスマホゲームのような大量のトランザクションを高速で捌くというのは現在できません。このような理由から、 My Crypto Heroesもイーサリアムのチェーンを使用するのはアセットの取引など、最小限にとどめているものと考えられます。
- 鍵の管理が難しく、セキュリティリスクが高い。ブロックチェーン技術が以下に改ざんに強く信頼性が高くとも、トークンの持ち主であることを証明する鍵の管理は個人に依存しています。鍵の紛失、漏洩すればトークンは二度と取り戻せません。特に投資家サイドからの視点では、資産が失われるリスクが高いとなかなか参入できないのではないかと考えられます。
ブロックチェーン技術自体がまだまだ発展途上であり、これらの技術的問題はいずれ解消すると考えています。 その時は、ブロックチェーン上でアセットを管理するのが当たり前のような時代になっているのかもしれません。
*1:イーサリアムに限らなければ、現在 取引量ベースではEOSベースのギャンブル系ゲームアプリの方が多くなっています。