Rso's Jotter

日々の開発の知見のメモやその他雑記

受託開発が面白くないから自社サービスという転職動機について

最近、すごく久しぶりにエンジニアの面接を行いました。 応募者は若手のフロントエンド志望のエンジニアでした。

まずはじめに、よくあるなぜ今転職活動をしているのか伺ったところ、自社の受託請負のシステム開発が面白くなくて、自社サービスで開発しているところを探している、という答えが返って来ました。

この動機、よく聞く気がしていて、そういえば自分がSI企業に所属していたときに転職活動をしていたときにも発言していた記憶があります。

なぜ受託は面白くなくて自社サービスのほうが面白いと思うのか?

という質問を投げかけてみると、ざっくりその答えは、

  • 納期に間に合わせるために低品質で妥協した開発を行っている
  • ユーザ(顧客)のいいなりになって、達成感がない。エンドユーザが見えない。
  • 複数の案件を抱えている人が多数で、細切れの作業になってしまっている。

というような感じでした。なるほどありがちな問題ですね。

しかし、スタートアップで自社サービス開発を約3年経験した身から言うと、上記の問題は自社サービスだから解消される、というものではないと思います。自社サービスであっても、

  • 顧客への提案やユーザからのフィードバックの対応の納期が非常に短いことは有りえて、そのために納期最優先の開発を行うことは普通にある。とくに立ち上げ初期の場合は、有力な顧客からの要望にいち早く答えたいため、ビジネスチームから現状のスケジュール無視で最速で出して欲しい、という要望に対応することもある。
  • 受託だと最終的にユーザの決定に従うという選択があるが、自社サービスだと方向性に悩んだ場合、何をすべきか迷う場面がある。その場合、ピボットの頻度が増え、自分の苦労して開発したプロダクトがお蔵入りになることもよくある。その場合はもちろん達成感は得られない。
  • エンドユーザが見えるかどうかについては、受託か自社サービスと言うより、プロダクトの規模によると思われる。プロダクトの規模が小さいほど、開発者ロールでもユーザからのフィードバックが見える。
  • 複数の案件を抱えなければいけない問題に関しては、そのプロジェクトがどのくらい健全な予算と人員をもっているかによる。儲からないプロジェクトに専任のエンジニアを割り当てるのは難しいし、また予算はあっても人員がいない場合は専任では張り付けない。

という問題があって、それほど受託と変わらない問題に直面すると思われます。

(このあたりも、もちろん環境によって異なるし、やってみるまで分からないところではありますが..)

結局のところ、組織とプロダクトのフェーズによって変わる

上記のような面接を経て思ったのは、結局のところもともと上記の請負で面白くないと思っていた要因は、受託か自社サービスということではなく、以下の2つではないかな、ということです。

  • 組織とのプロダクトのフェーズ
  • そのプロジェクトの予算と人員の健全かどうか

プロダクトや組織の規模が小さいほど、全体を見渡すことができ、ユーザからのフィードバックが得られ、自らの開発物がユーザに便益を与えていることを実感することがしやすいです。 組織が小さいほど、全体を見渡せるスキルセットの方が歓迎されがちで、その分特定の分野のスペシャリストは活躍しづらくなる傾向があります。

また納期や複数案件細切れの問題は、そのプロジェクトに潤沢な予算があり、余裕を持ったスケジュールと人員をアサインされているかどうかによって、変わってくるのではないかなと思いました。

まとめ

あまりまとまりのない話ですが、巷で言われている受託が嫌だ的な動機は、結局のところ その組織が大きすぎて自分の活躍が実感できない のと、 そのプロジェクトが健全でない 、ということだけなのではないでしょうか。