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日々の開発の知見のメモやその他雑記

読書メモ アプレンティスシップ・パターン

以前から持っていた本なのですが、久々に読み直したのでその内容をメモっておきます。 それほど世間一般で有名でない本かと思うのですが、個人的にエンジニアの心に刺さる名著です。

アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (THEORY/IN/PRACTICE)

アプレンティスシップ・パターン ―徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得 (THEORY/IN/PRACTICE)

  • 作者:Dave H. Hoover,Adewale Oshineye
  • 出版社/メーカー: オライリージャパン
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

概要

卓越したソフトウェア開発者になることを切望する駆け出しエンジニアに心構えを説く本。 中世の工房で働く徒弟制度に倣って、それらの弟子(アプレンティス)の日々己の技芸を磨いていた世界をモデルとして、 ソフトウェア開発で技術を磨きたいエンジニアに日々直面する課題と解決策をパターン形式で解説しています。

所感

この本では 駆け出しエンジニア向けの心構え指南本と書いていますが、結構抽象的な内容が多いため、駆け出しエンジニアには実はそれほど 実感が湧かないのでないかと思います。 しかし、ある程度ソフトウェア開発の現場で辛酸をなめ、苦労したエンジニアが読めば、ここに書いてある内容は心に刺さると思います。例えば、 技芸の習熟を志すが、年齢を重ねるにつれて、自分の思ったようなキャリア選択肢が見当たらない.. 現場があまりにも混乱している.. 管理職への昇進を命じられ、世間はそれを歓迎している.. ソフトウェア開発でない別の道の方が向いているような気がする.. などなど、ソフトウェア開発に従事している以上一度は体験するお悩みとそれに対してどのような行動が推奨されるのか、見事に記載されています。先人の筆者たちも同じく苦悩して、どう決断したが書かれています。

この本の良いところは、自分の漠然とした悩みを言語化し、パターン化してくれていることです。言語化されていることにより、 自分の悩みがエンジニアにとってある程度の普遍性を持つこと、そして言語化されていることによりこの内容を上司や同僚との会話することが可能になります。

非エンジニアのビジネスチームの人にもエンジニアの悩みとかこういうものだ、ということをかいつまんで説明するのにも使えます。 内容自体は抽象的な説明も多いので、自身や周りの人たちの現場経験にうまく適用して説明するのが良いかと思います。

冒頭でも書きましたが、それほど有名ではない(と思っている)し、あまり売っていない本ですが、 ソフトウェア開発に関する技術の向上を志し、将来に悩むエンジニアにはバチっとくる本ではないかと思います。